「その1.受診しない労働者がいると法律的にどうなるのか?」では、
会社が行う健康診断を労働者が受けずに、
更に自分で病院を見つけて受診をしない場合、
会社は受診の機会を労働者に与えているので問題はなく、
労働者については法律での罰則はないとご案内いたしました。
でも、このような状況は好ましくありません。
会社が行う例えば定期健康診断などの受診を拒否し、
自分で病院を選ばずに受診しないままの労働者
(この場合、この方はおそらく毎年受診しないこととなるでしょう)に対して、
会社は何らかのことを行うことができるのでしょうか?
裁判所の判例を一つご案内いたします。
愛知教育委員会事件 最高裁第一 平成13年4月26日
会社は、労働契約に基づいて労働者に対して保護義務というものを負っています。
この義務の履行のために労働者に対して業務命令権や労務指揮権を行います。
労働者の健康のため職場の安全で衛生的な環境状態に整備し維持することが
会社に求められていますから、この目的を果たすために一定の健康診断を労働者に受診することを職務上の行うべきこととして命令することができます。
この判例より、
会社が実施する労働安全衛生法に基づいた健康診断の一切を受診しないで、
労働者自身で選択した病院での受診及びその結果の提出に応じない(業務命令違反)
労働者については、何らかの懲戒処分を行うことができる場合があります。
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